大戦がもたらした美容整形の発展
美容整形の始まりは16世紀のイタリアでした。エリザベス・ハイケンの本、『プラスティック・ビューティー 美容整形の文化史』によると、イタリアのタリアコッチという医者は決闘で鼻を失うという大怪我をした人に上腕から皮膚移植をすることで、鼻の形成をしたのです。当時は驚きでしたが、それ以降形成外科は姿を消してしまいました。その後、形成外科が再び登場し、発展するきっかけとなったのは第一次世界大戦です。当時はアメリカ、イタリア、フランスなどの従軍医が負傷者を治療したのですが、顔面外傷の負傷兵に対して従軍医たちは必死で顔の再建手術を行なったのです。第一次世界が終わると、その後形成外科は急速に発展していきました。そして、同時にこの頃から美容整形への関心、必要性に注目する医者が登場したのです。
美容整形を発展させた、社会的・経済的状況
ところで、美容整形の誕生と発展には、当時の社会的・経済的状況が大きく関わっておりました。1910年頃のアメリカ女性は美しくなりたいという願望が非常に強く、負傷兵にも負けないくらいの大金を費やすことを惜しまなかったのです。大量消費、大量生産の時代の後押しもあって、形成外科が急速に進歩するのと平行して美容整形が徐々に確立していきました。しかし、当然ながら、この流れに疑問を持つ人々もいました。「再建手術と美容目的の手術に違いはあるのか」という疑問が当時の形成外科医の中から沸き起こったのですが、人道上の問題も含めて、答えはまだまだ見つからないのではないでしょうか?
その後、アメリカ女性の美の追求は、願望ではなく必須条件と変化を遂げていくのですが、同時に新しい化粧品や美容法が世に姿を現し、人工的な手段で外見の美しさが手に入る、いや、むしろそうすべきだという世情に変わったのです。1921年には美容整形手術がアメリカ社会に定着し、その存在価値を高めていったのです。
