形成外科の始まり
最初に美容整形と形成外科の違いを、それぞれの歴史の観点からお話してみましょう。
皆さんは、形成外科という医療が第2次大戦による多くの負傷者の社会復帰を目的として始まったことをご存知だったでしょうか? それを知ったとき、私はちょっと驚きました。負の遺産のようで。負傷者の治療が目的ですから、形成外科は身体のあらゆる部分を修復する作業だと考えればいいのですが、医療として正式に認可されたのはさほど前ではなく、第2次世界大戦後だったのです。海外では、ストックホルムで1955年、第1回国際形成外科学会が開かれ、日本では翌年1956年に、東京大学病院を皮切りに、他の大学病院でも形成外科専門の診療が始まりました。その後、1958年に始めて日本形成外科学会が誕生したのです。
美容整形の始まり
形成外科が大学病院で誕生したのに対して、美容整形は民間のクリニックで始まったところが大きな違いです。眼科や耳鼻科、皮膚科、外科などの立場から美容を主眼に治療を行なうものとして誕生したのです。現存する「日本美容外科学会」は、このような背景の下に、今でも形成外科系と美容整形系の2つの柱があるのですね。
以上のように、世界中を見ても形成外科と美容整形は医療分野では歴史が浅いのですが、形成外科的な手術はすでに紀元前6世紀頃にインドで、造鼻術や造唇術を実践していたと記録があり、このときの知識は以後ギリシャやローマに伝わったとされています。初めての指南書、いわゆる教科書はルネサンス時代のイタリアに存在しましたし、初めての整形手術は1845年に行なわれたそうです。その後、2つの世界大戦とともに形成外科の技術は飛躍的に進歩し、戦傷者を修復するための技術がやがて美容整形という「平和利用」へとつながっていったのです。
